News

すべての方へ 21年08月13日

大分の酪農家を紹介します!!③ ~九重町 ㈲馬場牧場編~

大分県の酪農について県内外のたくさんの方々に知ってもらうためのコーナー

「大分の酪農家を紹介します!!」

第3回目となります今回は、九重町の㈲馬場牧場さんです。

また、第6次産業として㈲馬場牧場さんで搾られた生乳を使用して作られたスイーツを、由布市湯布院町で販売されているTrace∞(トレイスエイト)さんもご紹介します。

 

 

≪㈲馬場牧場について≫

◇地域概要◇

九重町は大分県玖珠郡に属する町で、県の南西部に位置します。

気候の特徴としては、典型的な山地気候です。夏は冷涼で過ごしやすいですが、冬は厳しい寒さとなります。

地熱資源をはじめ豊富な資源を有し、変化に富んだ自然景観にも恵まれた町です。

歩道専用として日本一の高さを誇る吊橋「九重”夢”大吊橋」があり、そこで食べられる「九重”夢”バーガー」や高原野菜・シイタケ・梨・ブルーベリーが有名です。

自然豊かな九重町

◇牧場概要◇

この九重町には9戸の酪農場があり、その中で㈲馬場牧場では乳用牛を59頭(うち、経産牛38頭・初妊牛7頭育成牛14頭)と肉用牛を37頭の約100頭規模の乳肉複合経営を行っており、年間455tほどの牛乳を生産されています。

牧場には対頭式つなぎ搾乳牛舎、育成牛・和牛パドック、乾乳牛舎、哺乳ロボット1台があります。

 
     
 

広大な高原で作付けされる牧草

また飯田高原の30町(3,270㎡)に及ぶ広大な牧草地で育った自給飼料を活用した経営体で、今年は既に約400個ものロールを確保されたそうです。草地では春にイタリアンライグラスとライ麦を、秋にはヒエとスーダングラスが作付けされています。餌の主体となる自給飼料の作付けにはこだわりがあり、特に春先は力を入れて行われています。

 

「ホースフイールド ダイアモンドバック マイルド RED」

2回目の分娩を無事に終えていました!!

牛群の改良にも熱心に取り組まれ、令和元年11月に宮崎県で開催された第7回九州連合ホルスタインショーにて、「ホースフイールド ダイアモンドバック マイルド RED」が第3部【14~16カ月】名誉賞を受賞されました。入賞した際には、玖珠町・九重町を挙げて祝賀会を行い、大分県知事にも報告を行われました。

 

◇家族構成◇

 
映介さん   志保さん

 

(有)馬場牧場は映介さんのお祖父さんが福岡県より開拓で牛飼いを始めた事で、酪農については昭和34年に県内から育成牛3頭を導入し始められました。家族構成は馬場映介さん、奥様の志保さん、お子さんお二人と、映介さんのご両親の6人家族です。

作業については映介さんと志保さんが中心に搾乳と給餌を行い、朝はお母さん・夕方はお父さんが除糞を行います。また農繁期になると家族総出で草地に赴き、牧草の収穫やロールの運搬を行います。

志保さんは乳牛に因んだ雑貨集めやスイーツ作りが趣味とのことで、取材時にも手作りのスイーツをふるまってくださいました。

 

手作りの牛乳かんとシフォンケーキ        

◇作業内容◇

この日は朝6時から作業が始まり、志保さんはお子さんの見送りの為、前半は映介さん一人で搾乳をされていました。

搾乳を始める前に自家TMR(混合飼料)の給餌を行い、牛たちの食い込む様子を見ながら健康状態のチェックを行います。

 

自家TMRを食べる搾乳牛達    

自家TMR中の粗飼料には約95%自給飼料が含まれており、残りは購入乾草「アルファルファ(豆科の葉・茎)・オーツヘイ(エン麦)」が含まれております。現在、購入飼料であるメイズや大豆粕などといった穀物類の価格が高騰している事を受け、自給飼料を極力活用した餌作りに励まれています。

 
     
 

搾乳作業風景                      

給餌を行った後、牛達が餌を食べて大人しくしている間に搾乳が始まります。乳頭の張りが過敏な個体はタイミングを見計らって搾乳を行うなどの配慮もされていました。

現在、妹さんのお店に牧場の牛乳を提供していることもあり、搾乳に対しては以前に増して徹底をしているとの事で、「美味しくて安全な牛乳を搾れるよう努めている」とご夫婦でおっしゃっていました。

後ろから搾乳作業を見ていてどの牛も、乳房と肢蹄の形状が綺麗で馬場さんご自身も乳房・乳頭の形状と肢蹄の改良に励んでいると述べられていました。中でも足を悪くした牛は廃用になりやすい為、肢蹄の改良には念入りに行っているとの事です。

乳成分についても、以前よりも搾乳に力を入れて行われている事も受け、直近のバルク検査でも乳脂肪3.99%、乳蛋白3.32%、体細胞6万となっています。また取材日の平均個体乳量は35kgで、乳量・乳質共に良好でした。

バルク検査時の乳成分
7/20 現在 乳脂肪(%) 乳蛋白(%) 無脂固形(%) 乳糖(%) 体細胞(万) MUN(mg/ml)
(有)馬場牧場 3.99 3.32 8.87 4.68 10.8
県 内 平 均 3.77 3.26 8.72 4.58 21 10.2

この調子で好成績を保っていき、ゆくゆくは県内の乳質優良表彰や九州生乳販連の生乳品質共励会の表彰を目指されています。

 

搾乳終了後、育成・和牛・乾乳への餌やりに入り、9時には午前の主な作業が終了していました。

 
     
 

映介さんによると、志保さんが牧場の作業に入られてからは特に牧場の牛たちに愛情を注いでおり、牛たちが非常に懐いているとのことでした。

志保さんが人気アニメキャラクターに似た模様を持つ子牛を「炭ちゃん」と呼び、可愛がっていました。

「炭ちゃん」に愛情を注ぐ志保さん

この「炭ちゃん」に限らず、牧場にいる牛たちは人を怖がることもなく、我先に撫でてもらおうと近づいて来る様子を見て、日頃から愛情を込めて大事に育てられている事が伝わってきました!

「ホースフイールド ダイアモンドバック マイルド RED」の娘牛。

後継牛として、これからに期待です。

 

 

 

≪Trace∞について≫

こうして愛情込めて育てた牛たちから搾られた生乳を使用して作られたスイーツを販売されているTrace∞さんをご紹介します。

オーナーは㈲馬場牧場の馬場映介さんの妹さん立川美由紀さんです。

Trace∞さんは由布市湯布院町の街中に今年3月にオープンしたばかりのお店で、由布院駅から徒歩5分ほどで到着します。

この黄色い看板が目印です↓

ロッジのような外観と、明るい黄色い店内が特徴です。

店内に入ると、㈲馬場牧場で搾られた生乳を使用したスイーツがショーケースにずらりと並んでいました。

中でも立川さんのおすすめは、トレイシュー(シュークリーム)とHandaコッタ(ミルクプリン)だそうです。

 
トレイシュー   Handaコッタ

 

酪農家の娘として生まれた立川さんは、幼少期から牧場で作業の手伝いをされており、牛たちへの愛も強く、いつかご実家の牧場の生乳を使用したアイスを販売するお店を開くことが夢だったそうです。

10年前に湯布院町の旅館で働き生活していくなかで、湯布院町の地に根付いた、地元の方々が気軽に立ち寄れて愛されるお店にしたいと考え創業されました。

「Trace∞」という店名は、’’足跡”や”形跡”という意味を持つ「Trace」と、”無限”を意味する「∞」を合わせ、「実家の牛乳を使い永遠に足跡を残していく」という思いが込められています。

18時まで営業されているので、仕事終わりの近所の方や、夕方開いているお店を探している観光客にも好評だそうです。

すでにリピーターのお客様も増え、特にソフトクリームお目当ての方が多いそうです。

私たちもソフトクリームをいただきました。牛乳の味が濃く、とても冷たいのでこれからの暑い夏にぴったりのスイーツです!

 
 

 

店内のいたるところに牛さんたちがいます。

牛愛に溢れる立川さんが長年にわたって集めた牛グッズの数々です。他にもポスターやポストカードなどたくさんありました。

店内で牛グッズを眺めているだけでも幸せな気持ちになりました!

原材料の生乳にこだわり、地元の方々に愛されるお店にしたいと日々奮闘されているTrace∞さんへ、ぜひ足を運んでみてください!

 

Trace∞(トレイスエイト)

〒879-5102

大分県由布市湯布院町川上3052-4

(TEL)070-8557-1893

営業時間 11:00~18:00

定休日 木曜日

Instagram→ toreisueito.yufuin

 

 

≪県酪担当者より≫

大分県の酪農について県内外のたくさんの方々に知ってもらうためのコーナー「大分の酪農家を紹介します!!」も3回目となりました。

酪農情勢の不安が取り巻く中、快く取材を引き受けて下さる牧場の方々には大変感謝しております。

今回、「第6次産業」を1つのテーマとして取材させていただきましたが、生産者側の馬場さんご夫婦はもちろんですが、加工・販売側の立川さんも牛たちへ強い愛情をもっていらっしゃることが印象的でした。

コロナ禍ということもあり多くの不安が取り巻く中、温かく取材を受け入れていただきました㈲馬場牧場様とTrace∞様の益々のご発展と皆様のご活躍を県酪職員一同、心よりお祈りしております。

 

※酪農家の牧場は各牧場の私有地となっております。各牧場へ御用の際は当組合へ問い合わせのうえ、無断での立ち入りはご遠慮ください。

思わぬ事故の防止や安心安全な生乳の出荷の為にも、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。